ベーゴマ。















おかべくんと遊びました。
彼とは幼稚園からお友達ですが、
時間通り集まれたことは一度もありません。
僕が遅刻して、その連絡をうけ、
結局彼もさらに遅刻するのです。
今回もまたそうでした。
中学の頃とちがうのは、彼が結婚しているという点と、
片手にウイスキーを持っているという点だけです。
いやちょっとまって、ウイスキーうそつけ!
彼はお酒なんて決して強くないはずなのに、
自分はロックンローラーだからと、頬をもも色に染めて現れました。
でも前回はGAPの前に上半身裸で現れたので、それに比べれば全然ましです。

今日は何をするかねと、特に何も決めていなかったのですが、
彼は珍しくカメラを持ってきていたので写真を撮ろうという案がでます。
大きな、いいカメラです。
彼は足の写真を撮ると言い、歩いている人の足を撮りました。
それは盗撮だからダメだよ捕まるからダメだよと教えてあげると、
彼は言います。
「明日仕事を休みたいんだ、だから今日捕まって、明日仕事休む。
だって今日の僕はほら、ロックだろ?」とまたウイスキーを飲んだので、
僕はいやそんなの全然ロックじゃないただの酒好きの変態だよと教えてあげると、
彼はウイスキーをカバンにしまいました。

結局、ドーナツ屋に入り、話をします。
ミスタードーナツじゃないあのおいしいドーナツ屋です。
話題は、今までにした失敗経験の話。
彼の失敗はネットゲームにハマった事でした。
たしかに数年前10代後半でネットゲームにハマっていました。
それにお金をたくさん使ってしまったそうです。
武器を交換したり、レベルを上げる為にお金が必要だったそうです。
おそらく60万円くらいは使ったと、
睡眠時間3時間ほどで毎晩必死にパソコンと向き合い、
汗水をたらしていたと彼は目を細めます。
全然しぶくなかったです。
でもどんな失敗からでも学ぶ事はあります。
僕も受験に失敗した事や、悪い事をした時、
ああこれがだめだったなと気付いたりしました。
おかべくんに聞きます。
「その失敗で、何か学んだことはあった?」
彼は10秒くらいためて目を細めて言いました。
「最強」
ネットゲームの中ではかなり強かったらしく、
人の上に立つことの難しさや、
プレッシャーを学んだそうです。
彼はまた目を細めて、足を組みましたが、
全然しぶくなかったです。

ドーナツ屋を出て、電車に乗ってどこかの駅に行こうと決まります。
彼が僕に聞きます。
「好きな色は?」
緑と答えると、じゃあ緑の路線に乗ろう。と。
今度は僕が彼に聞きます。
「好きな数字は?」
3と答えたので、3番目の駅で降りよう。と。

わくわくした気持ちでちょっとした田舎の古い駅を想像します。
ぶらり旅のような、いい出会いを期待します。
ところが緑の3番目の駅は新横浜駅でした。
都会!少しがっかりしましたが、決まり事なので降りました。

でも新横浜にはラーメン博物館があります。
そこに行きます。そこは地下街でした。
階段を降りるとびっくり、昭和な街がありました。
あとで写真を載せるので見てください。
あ、正解。ここだ、ここに来たかったような気がする、
そこには剣玉や、ベーゴマ、紙芝居、射的、アイスキャンデーなど。
昭和な街が見事に切り取られています。
剣玉などで遊び、紙芝居を少し見て、街をぐるっとしました。
おかべくんは言います。
「あーなつかしいわあ」
いやなつかしいのは違うよ、これは僕らよりももっと昔の感じだよ、
僕らの子供の頃は剣玉じゃなくてもうスーファミだよと思いましたが、
彼はまた目を細めていたのでそれはもう言いませんでした。

昭和の街を出るとまた平成の街が平静を装っています。
(↑この行はあとで消すかもしれません)

雨も降っていたので屋根のある所にいこうと、また電車に乗ります。
桜木町に降りると、APECの何かで高校生がわんさかいました。
僕たちは女子高生の足だけを見ながら、しばらく歩きます。
ほんの少しちょっとだけ触らせてくれたらそれだけでいいのに、や、
夜景の綺麗なBARで、上品にバイオリンを奏でるように触りたい。など、
いろいろなことを想像しながら歩きました。
はっと我に返り、自分たちの顔を見ると驚くほど大人で、
鼻の下も伸びきっていたので、
こりゃあいけん、と思い ちゃんとしました。

カフェでまったりして、ゲームセンターでマリオカートをして、
結局、もう時間が結構遅くなったのでそろそろかなという事になり、
夜の海の近くの道を歩いて駅に向かいます。
このへんはとてもデートっぽかったのでよかったです。
今日は楽しかった、こんな風に遊んだのはひさしぶりだと、
よく歩いた足を褒めながら、雨の中を吸い込みます。

そごうの地下を通った時に、
そうだ、あやみさんに何かお土産を渡してよ。
と、僕は彼のお嫁さんに何か買うことにしました。
こういう時はちょっとお洒落な感じのものがいいと、一生懸命探します。
でもなかなかお洒落そうに見えるものがありません。
パッケージデザインってすごく大切だなと感じました。
僕だったらもっとこう、と偉そうに言ったりもしました。
結局、四角い箱で可愛い栗きんとんみたいなやつに決めました。
おかべくんに渡すと「今日ふたりでお茶するわ」とうれしそうに言います。

意外とその言葉がしっくりきました。
それは本当に意外な程です。
この種類の言葉はあまり似合わないと思っていたのですが、
とても自然でした。

別れ際、じゃあまた。と、片手をあげ彼は行きます。

どこに行くのかは知っています。
僕もなんとなくですが知っています。
おかべくんはそこに行きました。
僕はSIONを聞きながら都会の眠気と戦い、
ページをめくるかどうか、ずっと考えています。


さておきおかべくん。
あたらめて、結婚おめでとう。

中学の頃とちがうのは、彼が結婚しているという点と、
片手にウイスキーを持っているという点だけでした。
いやちょっとまって、ウイスキーうそつけ!

おわり

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

栗きんとんごちそうさまでした。ぺろりでした。彼は2個、あたしは3個食べました。ウイスキーを飲んでると大人になった気分になるのと、すごいなっていってもらえるのが嬉しいようですよ。

bosarl さんのコメント...

匿名さん

あわわ、見てくださったんですね。
栗きんとんにして良かったです。
ウイスキーなるほど。
是非すごいなと言ってあげてください。

あと今度バーベキューなどしたいです。
またお邪魔させてください◎