なみだ。

第一章
「いいよ、僕が殺してあげる」

そういって彼は立ち上がり、
持っていた食べかけの枝豆を、
男の後頭部めがけて力いっぱい振り下ろした。
みっつ入りの枝豆の、ひとつはもう食べていた。
食べかけの枝豆。
塩ゆでにした、枝豆だった。
沸騰させたお湯で豆を茹でた後、ザルにあげて水を切り塩を振りかける。
しばしば熱いまま供する。
枝豆。
塩をあらかじめ溶かし、沸騰させた湯で豆を茹でることもある。
あるいは、生の枝豆をボウルに入れ、鞘ごと塩もみしたのち、
塩とともに湯に投入して茹でることにより色鮮やかに仕上がる。
ザルにあげ、団扇であおいで冷ます。
枝豆の濃厚な味わいが薄れるため、冷水にさらしてはいけない。

第二章
彼は床に落ちた食べかけの枝豆を拾い、食べた。
「あれおかしいな、なんだかしょっぱいや」
涙に濡れる頬を、窓から見える月が照らした。

塩は「シママース」という塩を使用していた。
メキシコ、又はオーストラリア産の輸入天日塩を沖縄の海水に溶かし、
平釜で再結晶させる方法で製造。
カルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラル成分を含んだ
「にがり」を程よく残すことで、
味にまろやかさと深みを加えられる。

最終章
枝豆は近年、調理後冷凍した商品も出回っており、
小売店の冷凍食品売り場などで目にすることができる。
酒、特にビールのつまみの定番として知られ、
大豆に豊富に含まれる蛋白質などはアルコールの分解を助ける働きがあり、
枝豆をつまみにするのは理にかなっているといわれる。




さてここで問題です。
下記のうち、あなたの正しいセリフを選んでください。

1 いや、なんの話やねん。

2 えだまめ?なみだ?いや、なんの話やねん。

3 枝豆は奈良・平安時代には既に現在の形で食されていたとされているいやなんの話やねん。

4 深い。深すぎる。涙がとまらない。



正解は1と2と3です。
4を選んだあなたはどうか1日ゆっくりと休んでください。

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