公園のねこ。

雨の帰り道、泣いている男を見た。
声も出さず、泣きながら歩いてた。
本当に悲しそうに肩が揺れて、
車や街灯の光も彼を照らさない。
涙があふれてとまらない。
涙があふれてとまらない。
彼は公園のベンチに座り、
下を向いた。
雨は肩からしみこんで、
彼を冷やしてなぐさめた。

僕は彼の横に座った。
「なんだあおまえ、おまえもひとりか」
彼はこっちを見るとそう言って、
かばんからビスケットをだした。
僕は「おまえと一緒にするな」
と思ったよ、にゃーと鳴いた。
そしたら彼は笑って、またすぐ泣いた。

僕はあと少しだけここにいてやろうと思ったんだ。

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