つづき ①。

この間も書きましたが最近なんでもかんでもおもしろく思えてしまい、
いろいろな事をうまく判断できなくなってきたというのが悩みです。
例えばこんな話。
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「海辺の倉庫の話」

夜も深く、ゆうに12時は越えているだろう。
わけがあって私は海辺の倉庫にいる。
誰もいないはずのこの倉庫、
向こうの壁で何かが動いたような気がした。
窓のあたりでうっすらと月明かりが照らしてはいるものの、
やはり暗い、信用できる明かりはランプの他にないときている。

私はランプのもち手を強く握りしめ、
気配の方向へ進んだ。
手汗がじわじわと出ているのが分かる。
一歩、また一歩と少しずつ進み、
ランプの光が倉庫の隅に届きそうになった所で、
私は急に怖くなり、足を止めた。
が、すぐに戻る理由もないことを想った。
私はそうだ、全てを失ったのである。

一度大きく深呼吸をし、最後の一歩を出した。

古びた壁が照らされる。
だがしかしそれだけ、誰もいない、何もないじゃないか。
私は自分の勘違いだと分かるとすとんと肩を緩めた。

その瞬間、すぐ足元でカタンとまた音が聞こえた。
私は油断していた為、驚き跳ね上がった。

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これです。
例えばこんな話を思いついたとして、
どんな風につづいていくのがおもしろいかなと考える時とかに、
答えが難しくなってきたのです。

なので今日はつづきの①と②の2通り書いてみます。
どちらも捨てがたく、決められなかったので。
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つづき①
その瞬間、すぐ足元でカタンとまた音が聞こえた。
私は油断していた為、驚き跳ね上がった。

足元を照らすと一本の万年筆が落ちている。
キャップが取れてボロボロになった万年筆だ。
拾おうと腰を屈めると、
カタカタ。突然 万年筆が転がり始めた。
そしてそのまま壁に開いた小さな穴に入っていったのである。

私は不思議なことに、不思議なその光景を、
どうやら不思議と思えずにいた。
そしてしゃがみこみ、すぐに穴の中を覗き込んだ。
中を見て私はようやくその不思議に気がつき、
驚いて呼吸を忘れた。
その小さな穴のむこうには大きな部屋があり、
そこに何千、
いや何万といった万年筆が集まっていたのだ。
いやよく見ると万年筆だけではない、クレパスや色鉛筆、
シャープペンシルや油性マジック、
様々な筆記具が重なりあっている。
急に視界が明るくなり、
モロクロの世界がカラーになったことで、
私は若干とフラフラとしてきたが、
ぐっと堪えて様子を見ていた。

中でもひと際めだっていたのが蛍光ペンだった。
目立つというのも、他の筆記具が積み重なった一番上に、
蛍光ペンが色とりどりにきれいに並んでいた為である。
私はピンときた。
ここには地位(身分の差)がある。
そして蛍光ペンは今、その頂点に君臨しているのではないか。
そしてその蛍光ペンの中のひとつ、
1本の青色の蛍光ペンにだけ、金色のキャップがついている事にも気がついた。
しかし何故だろう、やけに似つかない。
明らかに他の筆記具のものだ。

そこに見覚えのある1本の万年筆が現れた。
(ああ、あれはさっき私の足元で…)
矢先、万年筆が頂上の蛍光ペンを目がけて跳ね上がった。
私はごくりと息を飲んで、様子を伺う。
バチン!
プラスチックの鈍い音が響く。
カタン!コロコロコロ…!

私のすぐそこ、
目の前に飛んできたのは、先程の万年筆だった。
そしてもう一度その山に登りかけたが、
途中で止まり、ゆっくりと引き返し、
私の覗いている穴のほうへ、トボコロトボコロと転がってきた。
私は反射的に穴から体を起こし、
万年筆が出てくるのを待った。

万年筆が出てくる。
!。その瞬間を見計らい、
そいつを掴み上げた。
そして一目散に倉庫の外に出て、車を出す。
今考えると何故そんな事をしたのか分からない。
私はその万年筆を手に、
全く新しい何かが始まる期待感と、
もう既に終わりの近いような、
ある種の達成感を同時に感じ、
何かを追うようなそして追われているような…
いや、やはりもう説明はできない。
何もかもが混乱している。

家に到着するなり私は机にノートを開き、
その万年筆で、今日起きたこと、
それから今も続いているこの瞬間の事を全てを綴り始めた。
混乱を治める為に混乱を書くというのは、
私が長年執筆を続けてきた中で見つけた、1番の方法である。
万年筆がだんだんと今の瞬間に追いつき、
そして今日1日の全ての私が、指と共にバチリと1点にとまった。
全てを書き終え、私はふっとため息をこぼそう。
そして最後にこの一文を添えよう。
「これははじまりなのか、それともおわるのか」


-ふと気がつくと朝であった。
さっきまでの出来事が全て夢だったとは絶対に言いたくないが、
私には早速に自信が無かった。

だがどうだ、机に目をやるとノートが開いている。
そしてそこには紛れもない昨日が書かれていた。
私は書いていて良かったと、動かぬ証拠に安心した。
そして最後に自分が書いた一文、
その下に見覚えのない横書きの文字が書かれていることに気がつく。

「Common sense ain't common.
= This is a coup」

(※訳:常識は全てのものではない
     これはクーデターだ)

私は確信した。
そしてごくりと息を飲んで、
机の上の万年筆に目を向けた。

これは「はじまり」である。


つづく
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みたいな。
みたいな感じにするか、
次のつづき②みたいな感じにするか、
どっちにしようかなあと考えていたけれど、
決められないっていう話です。
コメント欄に、つづき②を書いたので、
読んでみてください。

3 件のコメント:

bosarl さんのコメント...

「海辺の倉庫の話」

夜も深く、ゆうに12時は越えているだろう。
わけがあって私は海辺の倉庫にいる。
誰もいないはずのこの倉庫、
向こうの壁で何かが動いたような気がした。
窓のあたりでうっすらと月明かりが照らしてはいるものの、
やはり暗い、信用できる明かりはランプの他にないときている。

私はランプのもち手を強く握りしめ、
気配の方向へ進んだ。
手汗がじわじわと出ているのが分かる。
一歩、また一歩と少しずつ進み、
ランプの光が倉庫の隅に届きそうになった所で、
私は急に怖くなり、足を止めた。
が、すぐに戻る理由もないことを想った。
私はそうだ、全てを失ったのである。

一度大きく深呼吸をし、最後の一歩を出した。

古びた壁が照らされる。
だがしかしそれだけ、誰もいない、何もないじゃないか。
私は自分の勘違いだと分かるとすとんと肩を緩めた。

その瞬間、すぐ足元でカタンとまた音が聞こえた。
私は油断していた為、驚き跳ね上がった。

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ここまでは同じです。
ここからつづき②
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その瞬間、すぐ足元でカタンと音が聞こえた。
私は油断していた為、驚き跳ね上がった。

そしてそのまま天井を突き抜け、
上空へと飛び出した。
そしてそのまま月まで届いた。
私としてはそちらのほうが驚いた。
いくらなんでも月まで跳ね上がるとは。
ただ足元で音がしただけだというのに、
私はこうまで臆病なのかと。

ふと隣を見ると、
餅つきをしていたウサギが私のことを、
興味深そうな顔でこちらを見ている。

私はすかさず、
その2倍いや、3倍の興味深そうな顔で、
ウサギの方を見た。
するとウサギがさらにその5倍程の興味深そうな顔でこちらを見てきたので、
私は負けを認め、あまり興味のなさそうな顔をした。

そしてウサギに、
「お餅、本当についてらしたんですね」と言うと、
ウサギは「まあね」とだけ答えて、
またお餅をつきはじめた。

私は不思議なことに、不思議なその光景を、
不思議と思えずにいた。

私はウサギに、
「何か手伝えることはありますか?」
と尋ねた。
するとウサギは
「見たら分かるだろう、考えて動け」と言う。

私は確信した。
ここには地位(身分の差)がある。

私は少し冷静になりたかった。
落ちついて、今起きていることを整理したかった。
私は、すっと目を閉じそして深くゆっくりと息を吸い込んでいき、
そしてその吸い込んだものをまたゆっくりと口から吐き出した。
つまりは深呼吸をした。
そのことで少しだけ落ち着き、目をゆっくりとあけ、
その瞬間!すぐ足元でカタンと音が聞こえた。
私は油断していた為、驚き跳ね上がった。

そしてそのまま上昇し、
緑と青が溢れる美しい小さな星、
つまりは地球に戻れた。
そして先程の倉庫に見事に着地した。
一般の方なら、ここで大きな怪我をしているかと思うが、
私は合気道という武術を習得していた為、
膝の使い方には自信があった。
その事から私はこの着地を、
軽いねんざのみで済ませることができたのである。

しかし次の瞬間、急激な気圧の変化により、
私は気を失って倒れた。
その際、右手首を骨折した。


-ふと気がつくと朝であった。
さっきまでの出来事が全て夢だったとは絶対に言いたくないが、
私には早速に自信が無かった。

だがどうだ、机に目をやると、
お皿にのったツキたてのお餅が湯気を立てている。
私はそれを見て急に怖くなり、
そのお餅を窓の外に投げ捨てた。

そしてこれは夢だと自らに言い聞かせ、また寝た。
これは「おわり」である。

おわり

PS:その数日後、私宛に一通の手紙が届いた。
私には見覚えの無い横書きの文字である。
最後にそこに書かれていた内容を綴り、
締めくくりとしたい。

「After that, the staff ate delicious rice cake」
(※お餅はスタッフでおいしくいただきました)

おわり

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みたいな。
みたいな感じにするか、
さっきのつづき①みたいな感じにするか、
どっちにしようかなあと考えていたけれど、
決められないっていう話です。

すうやま さんのコメント...

なげw

bosarl さんのコメント...

すうやまさん

みじけ!