かっこいい日。

この間、岡山出身の男の子と話をしました。
僕よりも6つ歳下の彼は、就職活動中の学生です。
これからの進路についてのアドバイスをして欲しいということで、
よしじゃあまず腹ごしらえにラーメンをおごってあげようと、
ラーメン屋のカウンターに座り、すぐに大盛りをふたつ頼みます。
すると彼が「あ、僕大盛りはちょっと」と申し訳なさそうに言ってきたので、
僕は「ばかたれ」と2回言ってそれを退けました。
こういう時の僕は最高にかっこいいので、
「男は大盛りにきまっとる、なんでも大盛りを食べ」
と渋めのトーンでしかも前を向いたまま言いました。
それからラーメン大盛り2つがすぐにきて、いざ尋常にという時に、
彼が「いやそれでさっきの続きなんですけどね、」
と就職活動の話をしようとしたので、
「おいばかたれ、集中せえ、食べ。今はラーメンを食べ」
と制止して、豪快に麺を吸い込みました。
こういう時の僕は最高にかっこいいのです。
それを見て年下の彼も黙々とラーメンをすすります。
彼も一生懸命ラーメンを食べたので、見事完食し、
お会計をしようとしたら、また彼が「ちょっと出します、小銭だけでも」
みたいな事を言うので、最高にかっこいい僕は、
「おいめんどうくせえ、男同士にそういうのいらん」
と言って、本当は小銭たくさんあったけれど、わざとお札で払いました。

よしじゃあ缶コーヒーを買って、そこのベンチに座ろう。
そう言って、公園のすみっこのベンチに座り、ようやく話を聞き始めました。
彼とは故郷が同じというのもあって、本当に先輩ぶってしまいます。
「自分らの時はな」と自分の話ばかり言ってしまったり、
「あーわかるわかる」と分かるぶったりたくさんしてしまいました。
それでもなんとかいいアドバイスをしてあげたくて一生懸命答えます。
最後には運よくうまくまとまってきて、
「ありがとうございますがんばります」と彼が涙ぐむシーンもありました。
僕は笑いながら、ここぞとばかりに、待ってましたと言わんばかりに、
「おいおい、男が泣くな、我慢せえ!」
と肩をバシン!と叩き、キメました。
そして仕上げに少し残っていた缶コーヒーしかもわざと買ったブラックをぐっと飲みほして、
じゃあいくか!と言い立ち上がりました。
(まじドラマティック!自分まじドラマティック!)
と自身をほめたい気持ちをぎりぎりで抑えて、駅まで歩きました。

最後も駅の前でバシン!と肩を叩いて、がんばろうな!と言って送ります。
心なしか少し元気になったように見えた彼の姿を、目を細めて微笑みます。

その日の夜、彼からのメールがきてそこには
「今日はありがとうございました!おもしろかったです」と書いてありました。
僕はびっくりして、すごいびっくりして、
「いや違うわ!今日なんにもおもしろい事言うてないわ!純粋にいい事ばっかり言おうとしたわ!渋めの先輩キャラで自分的には完全に100点とったわ!」
と返そうかと思ったけれど我慢して、
「おう!またな!」
とだけ返して泣きそうになりました。

おわり

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

これはもうないてるな。
間違いないないてるな。
穴という穴からいろんな物を垂れ流して
泣いてるな。

bosarl さんのコメント...

匿名さん

コメントありがとうございます。
いや決めつけ感がすごい!
返事書くときの束縛感がすごい!
あとそれもう泣いてるというか漏れている感じが、いや漏らすか!笑

またコメントしてくださいね〇

みみこ さんのコメント...

ああなんか、この年下の男の子の気持ちわかるわ。

まあ、私はどっちかというとドラマチックに組み込まれる方のタイプですが。

bosarl さんのコメント...

みみこさん

なんだかやっぱり古臭い感じがしてダメですよね。
今度からミュージカル調にアレンジしてみます。