電話をくれた友達に、
今日は何も考えたくない。
ひどく落ち込んでいると伝えたら、
じゃあ景気づけに、おもしろエピソードをプレゼントするわ。
と、エピソードをもらった。
さらにその友達が言うには、自分は話が下手だからおもしろく話せない。
話し方さえうまければ、きっともっとおもしろいはずだ、
キミならきっとできる、どうぞこの話をキミの話として、
おもしろくおかしく使ってくれ。との事だった。
そのエピソードというのがこれだ。
その友達が本屋でバイト中の出来事。
一人の男性客が入ってきた。
見るからに怖い感じの人で、おそらく職業は目を合わせてはいけないタイプ。
その男性は店に入るなり、店内をぐるりと見渡し、
レジにいる自分達に向かって、のしのしと近づいてくる。
(ここここわい)
(たたたたのむ、となりのバイトに話かけてくれ)
怖い男性はとなりのバイトに声をかけた。
怖男
「おい、この店になんかおもしれえ本はねえのか」
隣バイト
「ええっと。。お、おもしろい本ですか。?」
怖男
「そうだよ!」
友達
(この人のいうおもしろいっていったい、、。
あれかな、極道の妻とか、
仁義なき戦いとかそっち系かな)
隣バイト
「えっと、例えばどういったジャンルでお探しでしょうか?」
怖男
「だからあれだよ!
ウォーリーを探せとかそーゆんだよ!」
友達
(ええー!!!)
と、こんな感じのエピソードだ。
いやいや、なんてことだ、
充分おもしろいじゃないか。
こんなおもしろエピソードを自分のものとして話せるなんて、
とても有難いし嬉しい。
でもせっかくもらったのだから、
少しくらいは自分色も混ぜて話したいと思う。
今考えているのは最後の(ええー!!!)の部分を、
何か自分なりの言い回しにできないかどうか。
①
怖男
「だからあれだよ!
ウォーリーを探せとかそーゆんだよ!」
僕
「いや小三か!」
②
怖男
「だからあれだよ!
ウォーリーを探せとかそーゆんだよ!」
僕
「いやウォーリーの前に完全に自分見失っとるやないか!
自分を探せ!」
③
怖男
「だからあれだよ!
ウォーリーを探せとかそーゆんだよ!」
僕
「へいアニキ!その本の場所はアッシが調べつけます、けども!
けども、ウォーリーの野郎はアニキ!
あんたが見つけ出してくださいよ!へへ!」
うーん。。どうかな、
なんかちがうう。むずいなあ。
やっぱり人の話をうまく喋るのはむずいなあ。
やっぱり自分自身で感じたことを喋らないと、いけないな。
そうしないときっと心に響かないんだろうな。
うん。
せっかくいただいたけれど、この話は今度直接会った時に
お礼と一緒に丁寧にお返ししようと思う。
でもふと気がつくと、今日1日全く笑わなかった僕が、
いつもどおり笑っている事に気がついて、
電話の最後に、ありがとうと心から伝えた。
すると友達はこう言った、
「いや自分なんてゴミみてえなもんっすから、
気にせんでくだせぇ」
僕は、そんな事ないよ、
そしていくらなんでも
ゴミは謙遜しすぎだよ、
君は本当に素敵だよという意味を込めて、
「たしかにな」
と言って電話を切った。
前にも言ったけれど、僕は本当に人に恵まれている。
それをまた思い出した日でした。
おわり
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