Aちゃんという大変可愛い後輩がいる。
彼女が高校3年生の時、22歳の僕と知り合った。
笑顔があんなに素敵な子は滅多にいない。
120%の笑顔の持ち主である。
僕の事を先輩と呼んでくれる唯一の存在だ。
そんなAちゃんから今日電話があった。
内定をもらったという報告だ。
嬉しかった。後輩が内定をもらった事はもちろん。
わざわざ報告の連絡を僕にくれた事。それが嬉しかった。
電話のむこうで嬉しそうに話す声、それを聞いてあの笑顔を想像した。
最高だ。
最高にいい気分だ。
六月最終日、いいしめくくりだ。
後輩、おめでとう。
いいしめくくりをありがとう。
桃の昔話。
川に大きな桃がどんぶらこ、
どんぶらこと流れてきました。
大きいと言いましても、人の入るような大きさでは
ありませんでした。
おばあさんはそれを拾って食べました。
とてもおいしいと喜びました。
おじいさんにも一口あげました。
とてもおいしいと言いました。
「うまい!もうひとくち!」と言いました。
おばあさんはもうひとくちおじいさんにあげました。
おじいさんはそれを食べました。
「デリシャスだ」と言いました。
「あまみもちょうどよい」と言いました。
二人はこの桃がいったいどこから流れてきたのか。
気になって旅に出ます。
シジュウカラの鳴き声が山の緑に響きます。
秋はまだ、恋する気持ちを知りません。
〔つづく〕
どんぶらこと流れてきました。
大きいと言いましても、人の入るような大きさでは
ありませんでした。
おばあさんはそれを拾って食べました。
とてもおいしいと喜びました。
おじいさんにも一口あげました。
とてもおいしいと言いました。
「うまい!もうひとくち!」と言いました。
おばあさんはもうひとくちおじいさんにあげました。
おじいさんはそれを食べました。
「デリシャスだ」と言いました。
「あまみもちょうどよい」と言いました。
二人はこの桃がいったいどこから流れてきたのか。
気になって旅に出ます。
シジュウカラの鳴き声が山の緑に響きます。
秋はまだ、恋する気持ちを知りません。
〔つづく〕
まいまいまいまいうまいどんぶり。
太陽は出ていないけれど、妙に明るい。
くもりってはいないくもりの日。そんな日の出来事。
公園でブランコのような揺れる遊具に乗り、珈琲を飲みながらちょい悪の俺(※1)を演出していたら子供が二人寄ってきた。
※1…ちょい悪時の一人称。
僕は子供が好きなので、暖かくかまった。ガムもあげた。
するとサッカーをするから相手をしてくれと言われた。二人は多分兄弟。
うけてたとう、ちびすけども。僕は立ち上がりボールを転がした。
白と黒のベーシックなサッカーボール。妙になつかしい。あぁ、これか。この感じ忘れてたな。
!おっといけない考え事をしている場合じゃない。
相手は現役の子供、パワーとキレが違う。
一生懸命ボールをキープしていたら、二人だった子供は五人に増えた。
仲間を呼ぶとは想定外だった、もう限界か。
いくら子供とはいえ五人対一人では分が悪い。
そしてボールを奪われかけたその時だった、 彼が現れたのである。
ランニングシャツにブリーフ姿のおじさん。
白いおじさん。
おじさんはこちら方面へパスを出せとジェスチャーしている。
味方か、味方なのか、敵か、誰なのか。変態か。
考えいる時間はなかった、僕はブリーフおじさんへパスを出した。
くるくるっ。びょーん。ぷにー。
彼は味方だった。太った体を上手に使い、くるっと回ったりぴょんと跳ねたり、とても楽しそうに舞っていた。
パスもくれた。
いやはやこんなのは初めて見た、本当にボールと友達みたいだ。
あまりにも上手だったのが意外で、少し客観的になれた。
するとなんてキレイなんだ。
子供もおじさんもみんなキラキラしている。
白と黒の古いボールをみんな笑顔満載で追いかけていた。
そんな楽しい時間もつかのま。目の前が真っ黒になる出来事が起こった。
おじさんと子供達に、何かがものすごい勢いで突っ込んだのである。
二人組の男、たぶん歳はあまり僕と変わらない。
一人は金髪で、軍服のようなズボンを穿いた若者だった。
ドキ!
と思ったら、どっこいだ。
彼らはボールだけを奪い、子供へパスを出した。
彼らはサッカーに混ざった。子供の味方についたのである。
こうして、三人から始まったサッカーは、次々に人を呼び、最後は20人くらいになった。
中学生や三十代くらいのお兄さん、さらに子供が5人、
三歳くらいのよちよち子供と、その父親まで混ざってみんな他人とは思えないくらいキャーキャー言いながらサッカーをした。
楽しい楽しすぎる。
ああこれはもうサッカーをしているんじゃない。
ダンスだ。みんなで踊っているんだ。
そうだ多分この楽しさはアレだ、キャンプファイヤーの周りを回るダンスの感じと同じだ。
まいまいまいまいうまいどんぶり。
踊ろう。
夕方になり、ダンスタイムは終わり、みんなで握手をしてそれぞれの方向へ散った。
今思い出しても夢のようだ。
僕はその日以来、人をもっと好きになれた。
これは19歳、イタリアでの研修中の話。
僕の一生の中で一番いい思い出の中のひとつ。
坂が多くてとても古い、いい街だったのを今でもよく覚えている。
太陽は出ていないけど、妙に明るい。
そんな日の出来事。
くもりってはいないくもりの日。そんな日の出来事。
公園でブランコのような揺れる遊具に乗り、珈琲を飲みながらちょい悪の俺(※1)を演出していたら子供が二人寄ってきた。
※1…ちょい悪時の一人称。
僕は子供が好きなので、暖かくかまった。ガムもあげた。
するとサッカーをするから相手をしてくれと言われた。二人は多分兄弟。
うけてたとう、ちびすけども。僕は立ち上がりボールを転がした。
白と黒のベーシックなサッカーボール。妙になつかしい。あぁ、これか。この感じ忘れてたな。
!おっといけない考え事をしている場合じゃない。
相手は現役の子供、パワーとキレが違う。
一生懸命ボールをキープしていたら、二人だった子供は五人に増えた。
仲間を呼ぶとは想定外だった、もう限界か。
いくら子供とはいえ五人対一人では分が悪い。
そしてボールを奪われかけたその時だった、 彼が現れたのである。
ランニングシャツにブリーフ姿のおじさん。
白いおじさん。
おじさんはこちら方面へパスを出せとジェスチャーしている。
味方か、味方なのか、敵か、誰なのか。変態か。
考えいる時間はなかった、僕はブリーフおじさんへパスを出した。
くるくるっ。びょーん。ぷにー。
彼は味方だった。太った体を上手に使い、くるっと回ったりぴょんと跳ねたり、とても楽しそうに舞っていた。
パスもくれた。
いやはやこんなのは初めて見た、本当にボールと友達みたいだ。
あまりにも上手だったのが意外で、少し客観的になれた。
するとなんてキレイなんだ。
子供もおじさんもみんなキラキラしている。
白と黒の古いボールをみんな笑顔満載で追いかけていた。
そんな楽しい時間もつかのま。目の前が真っ黒になる出来事が起こった。
おじさんと子供達に、何かがものすごい勢いで突っ込んだのである。
二人組の男、たぶん歳はあまり僕と変わらない。
一人は金髪で、軍服のようなズボンを穿いた若者だった。
ドキ!
と思ったら、どっこいだ。
彼らはボールだけを奪い、子供へパスを出した。
彼らはサッカーに混ざった。子供の味方についたのである。
こうして、三人から始まったサッカーは、次々に人を呼び、最後は20人くらいになった。
中学生や三十代くらいのお兄さん、さらに子供が5人、
三歳くらいのよちよち子供と、その父親まで混ざってみんな他人とは思えないくらいキャーキャー言いながらサッカーをした。
楽しい楽しすぎる。
ああこれはもうサッカーをしているんじゃない。
ダンスだ。みんなで踊っているんだ。
そうだ多分この楽しさはアレだ、キャンプファイヤーの周りを回るダンスの感じと同じだ。
まいまいまいまいうまいどんぶり。
踊ろう。
夕方になり、ダンスタイムは終わり、みんなで握手をしてそれぞれの方向へ散った。
今思い出しても夢のようだ。
僕はその日以来、人をもっと好きになれた。
これは19歳、イタリアでの研修中の話。
僕の一生の中で一番いい思い出の中のひとつ。
坂が多くてとても古い、いい街だったのを今でもよく覚えている。
太陽は出ていないけど、妙に明るい。
そんな日の出来事。
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