オランウータンに会いにいくころ。

オランウータンに会いに行きました。
オランウータンに会うと、心が落ち着くのです。

僕は最初は自分の事とても好きでしたし、高校の時なんて少しかっこいいとまで思っていたけれど、それ以上に性格がすごく悪いし人を裏切ったり傷つけたりたくさんしたので、いつの頃からか自分のことをあんまり魅力的に思えなくなりました。
けれど僕はオモテ面は言う事がおもしろいし人気者なので、まわりの人に元気がないと思われたりネガティブな印象を与えるのは嫌で、その度におもしろジョークを言って笑わせたり、おもしろモノマネやおもしろダンスをしたり、仕事も恋愛も全部うまくいっているように振舞ったりして、なんというかそう自分もデザインしてきました。

そしたらいつのまにか、本音を言う場所がなくなってしまっていて、もしくは、本音が分からなくなってしまって、それで。
それでそういう時にオランウータンに会いに行くんです。

言葉は必要ではありません。
オランウータンの目は驚くほど透明で優しいから。
普段人と目を合わせれない僕も、その目とはずっと合わせていられます。

心の中で思っていることを正直に思いながらいると、
かれはじっと僕の目を見て、
それからガラスごしにキスをしてくれました。

僕の髪がボサボサだったから仲間だと思ってくれたのかもしれないけれど、
すごく嬉しかったです。
またしばらくがんばれるなと思いました。


大丈夫大丈夫と言ってくれてありがとう。
こんどはおもしろダンス見せにいくからね。

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